投資助言

暗号デリバティブとは何か

暗号デリバティブとは何か

第3回 暗号デリバティブとは何か 暗号資産を用いたデリバティブ取引や資金調達取引における規制に関する留意点

以上で例示した、法令により定められた規定のほか、金融庁により認定協会とされた(改正金商法78条1項)一般社団法人日本暗号資産取引業協会(以下、「JVCEA」といいます)の定める規定にも留意する必要があります。JVCEAは、「暗号資産関連デリバティブ取引に関する規則」等、暗号資産デリバティブ取引業に関連して新たに17の規則・規程を制定しました(「第1回 資金決済法・金商法等における改正の経緯と暗号資産交換業の登録申請等に関する留意点」2. 表No10)。

電子記録移転権利等に係る私募の要件、有価証券報告書の提出要件・免除要件、有価証券届出書等の開示内容等に関する規定を整備する

(1)電子記録移転権利の私募の要件

  1. 適格機関投資家私募
  2. 少人数私募
  3. 特定投資家私募
① 適格機関投資家私募

(1)適格機関投資家のみを取得勧誘の対象としていること 暗号デリバティブとは何か
(2)発行者が有価証券報告書の提出義務を負っていないこと
(3)特定投資家向け有価証券でないこと
(4)財産的価値を適格機関投資家以外の者に移転することができないようにする技術的措置がとられていること

② 少人数私募

(1)取得勧誘の相手方の人数が50名未満であること(過去6か月通算)
(2)発行者が有価証券報告書の提出義務を負っていないこと
(3)特定投資家向け有価証券でないこと
(4)財産的価値を一括の移転以外に移転できないようにする技術的措置がとられていること、または単位の総数が50未満である場合に、単位未満の財産的価値を移転できないようにする技術的措置がとられていること

従前から私募においては転売制限が求められてきたところ、電子記録移転権利の転売制限としては、①の適格機関投資家私募および②少人数私募ともに、「技術的措置」をとることが求められていることが大きな特徴です。「技術的措置」の詳細については法令の文言のみでは明らかでないものの、金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」V-2-3(1)④においては、「適格投資家以外の者に移転することができないようにする技術的措置としては、例えば、電子記録移転有価証券表示権利等を表示する財産的価値の譲渡につき発行者又は私募の取扱いを行う金融商品取引業者の事前承諾が要件とされており、かつ、当該承諾を行う者において、あらかじめ譲受人が適格投資家であることが適切に確認されない限り、譲渡の効力が生じないような措置等が考えられる」として、「技術的措置」の具体例があげられており参考になります。

(コメントの概要抜粋)
「従来の当事者の意思決定を契約的に制限する方法での譲渡制限と異なり、権利の「移転」を技術的措置により制限することを求めているが、一般的に財産権の譲渡は当事者の意思によって成立するので、これらは対抗要件具備の問題として理解してよいか。」

(金融庁回答抜粋)
「技術的措置により移転を制限することが求められているのは、「財産的価値」であって「権利」ではありません。また、対抗要件具備について技術的措置による制限を求めているものでもありません。」
(「令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案等」に対する、金融庁「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」(令和2年4月3日)コメントおよび回答No149)

(コメントの概要抜粋)
「一定の者ないしは一定の場合以外に移転することができないようにする「技術的措置」とは、どのような措置を行えばよいか。例えばアカウント開設時に要件を満たしているかを確認し、要件を満たした者が開設したアカウントのみが財産的価値を保有できるような措置を講じていればよいか、それとも財産的価値自体に移転が制限されるプログラムを書き込むことまでが必要か。」

(金融庁回答抜粋)
「個別事例ごとに実態に即して実質的に判断されるべきものと考えられますが、必ずしも技術的措置を財産的価値自体に内在するよう設計する必要はないと考えられます。例えば、技術的にアカウント保有者を適格機関投資家に限定する措置がとられており、財産的価値を当該アカウント保有者以外の者に移転することが技術的に不可能な場合には、基本的には、当該技術的措置がとられているものと考えられます。」
(「令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案等」に対する、金融庁「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」(令和2年4月3日)コメント及び回答No150)

仮想通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引とは?その仕組みと種類をわかりやすく解説

グローバル金融市場は、地球上で最も収益性の高い産業の一つです。 一部は同意しませんが、金融市場が資本を調達し、低価格で供給を確保し、信用を商品としてどのように繁盛さ「デリバティブ」という言葉は、過去数十年間で確実にその知名度を高めてきました。日本語では一般的に「金融派生商品」などと訳されますが、”ある原資産から二次的に発生する商品” という意味で、漢字にすると少々わかりにくいと感じるかもしれません。しかし、デリバティブの仕組みと種類を噛み砕いて見ていくと、実は非常にシンプルなことが分かります。端的に言えば、あらかじめ取引におけるリスクを下げたり、逆にあえてリスクを高めて、原資産以上の収益性を目指すことを目的として編み出されたのがデリバティブなのです。

  • 少ない資金で始められる
  • レバレッジを使用して高い収益を目指すことができる

デリバティブ取引とは?

デリバティブ取引とは、将来の特定の「日時」、「価格」で原資産を売買することを、二者間(買い手と売り手)であらかじめ約束する契約形態です。デリバティブの種類には、『先物(フューチャー)』『先渡(フォワード)』『オプション』『無期限(永久スワップ)』などがあり、仮想通貨取引にも適用されます。

デリバティブ取引について深く知るためには、まずこうしたデリバティブの定義をきちんと理解することが大切です。デリバティブとは、原資産を将来の日時・価格で売買するために、売り手と買い手の間で交わされる “約束” なのだと覚えておきましょう。

Crypto derivatives exchanges report

デリバティブ取引と現物取引の違い

現物取引は「スポット取引」とも呼ばれますが、その名の通り、現在の市場価格に基づいて資産を ”その場で(on spot)” 取引する仕組みです。取引の決済は、一般的に取引日から2営業日以内に行われます。

  • 売買する資産:ビットコイン取引に置き換えて考えてみます。現物市場では、トレーダーは実際にビットコインを保有し、それを元手として売買をします。つまり売買を行う際は、お金と現物(ビットコイン)をシンプルに交換する形になるということです。一方、デリバティブ市場では、トレーダーが実際に手元にビットコインを持っていなくとも、売買契約を結ぶことができます。この場合、先物やオプション、無期限などの手法を用いて、「手元にこれだけの資産がある」という仮定に基づき取引を行います。
  • 資産価格:現物取引では、トレーダーは現在の市場価格で資産を売買します。一方、デリバティブ取引は、現在の価格でなく、あらかじめ決められた「将来の予想価格」をもとに契約を結びます。先物取引を例に挙げると、結んだ契約が満期(決済日)を迎えた際、買い手は売り手から原資産を買い取る義務があります。この場合、前もって約束した「将来の予想価格」と「現在の市場価格」の差によって、売り手か買い手のどちらかに利益が出るという仕組みです。
  • 決済日:現物取引は、基本的に2日以内に決済されます。一方、デリバティブ取引は、あらかじめ約束された将来の特定の日時に決済を行います。しかし、仮想通貨デリバティブ取引では、デリバティブ市場に流動性をもたらすために、決済日前であっても仮想通貨または現金による決済を実行するものが多く、Bybitの「無期限契約」もこれにあたります。一般的な先物契約では、デリバティブの基本の仕組みに沿って、いかなる契約も期間満了のタイミングで決済されるというルールがあります。(※先物契約でも、満期を迎える前に、双方の合意の下で売買することは可能です)

デリバティブ取引の種類

Futures contract

先物取引(フューチャー)

先渡取引(フォワード)

オプション取引

  • コールオプション:あらかじめ決めた行使価格で「商品を買う権利」です。将来価格が上昇してしまう恐れがある場合は、コールオプションを購入します。
  • プットオプション:あらかじめ決めた行使価格で「商品を売る権利」です。売却を考えているけれど、将来価格が下がってしまう恐れがある場合、プットオプションを購入します。

Perpetual contracts

無期限契約

デリバティブ応用編:仮想通貨取引でどう使う?

保有ポジションのヘッジ

今後の値動きのモニタリング

  • レバレッジ(証拠金取引):デリバティブ取引は少額から始められ、レバレッジを使用すればさらに利益率を高めることができます。
  • 低額の手数料:デリバティブ取引では、注文コストや取引手数料が低く設定されています。
  • 価格変動リスクの軽減:ボラティリティの高い仮想通貨だからこそ、あらかじめ将来の取引価格(行使価格)を決めておくことで、価格変動によってもたらされるリスクを減らすことができます。
  • ヘッジ:資産の保護という観点から、デリバティブは効果的なリスク管理ツールとなります。ヘッジポジションを建てることで、将来の損失リスクに備え、うまく対応できます。
  • 投資戦略の多様化:デリバティブ取引には様々な利点があり、取引戦略の多様化を可能にします。「リスク管理」と「収益向上」を目的として設計されているため、組み合わせることで最適な投資戦略をカスタマイズすることもできます。
  • 高い流動性:デリバティブ市場の流動性は非常に高いです。ある調査によると、2020年5月には、仮想通貨デリバティブの日次取引高は6000億ドルを超えており、この勢いは機関投資家の参入という追い風を受けてさらに増しています。流動性の高い市場だからこそ、最適な価格で約定し、利益を最大化する機会も多くなります。

仮想通貨デリバティブ取引を行う注意点

ハイリスク:デリバティブ取引はレバレッジをかけて、手持ちの資産以上の取引を行うことができます。このため、強制決済のリスクも高まります。例えば、トレーダーがビットコイン先物を50,000ドルで購入し、レバレッジを使って10ビットコイン分をショートしたとします。この場合、1ビットコイン=48,000ドルまで下落してしまうと、トレーダーはポジションに対して10倍にあたる20,000ドルの損失を受けることになります。

相対取引(OTC)のリスク:OTCデリバティブの場合、取引所を介して取引が行われるわけではなく、買い手と売り手が個別に契約を結びます。そのため、取引相手に関する十分な調査を行うことができません。契約が遵守されるのかというリスクを常に孕んでいることを理解し、注意しながら取引を進める必要があります。

規制強化:世界のすべての国や地域でデリバティブ取引が合法化されているわけではありません。先物契約や無期限契約を行う際は、デリバティブ取引が法律で認められているかをしっかり確認しましょう。場合によっては契約が履行されず、損失を被るケースもあります。

仮想通貨デリバティブを活用するトレーダー

  • ハイリスク・ハイリターン:高いレバレッジをかけて、高い収益を追求するタイプの仮想通貨デリバティブ取引は、「ハイリスク・ハイリターン」を好むトレーダーに適しています。リスクをなるべく避け、慎重に投資したい場合には、低いレバレッジで取引を行うことを推奨します。
  • 市場分析:デリバティブ取引は、手持ちの証拠金と市場に対する知識量に左右される部分があります。そのため、テクニカル分析やファンダメンタル分析に精通しているトレーダーは、デリバティブ取引を自身の投資戦略にうまく利用しています。特に仮想通貨市場は様々な要因が価格に影響を与えるので、最新の市場動向は常にチェックしなければなりません。
  • 仮想通貨市場への理解:仮想通貨市場は従来型の金融とは違い、ブロックチェーンなどの最先端技術・システムの発展が市場動向に影響を及ぼします。この点では、仮想通貨デリバティブのトレーダーは市場分析に加えて、最新のプロジェクトや仮想通貨業界を取り巻く規制などに関しても常にアンテナを張っておくことが大切です。

機関投資家:機関投資家は、市場分析の独自ツールやリソースを保有しているため、仮想通貨のデリバティブ取引を行う上では理想的な立場にあります。機関投資家は、高いレバレッジを活用して利益を追求したり、ヘッジポジションなどの戦略を活用して取引リスクを調整したりすることに長けています。

マイナー(採掘者)または仮想通貨スタートアップ:ビットコインやアルトコインの採掘に携わるマイナーにとって、デリバティブへの投資は理にかなっています。マイニングの競争は激化しており、以前に比べて収益を得ることは難しくなっています。ここで、先物のようなデリバティブ取引でヘッジすれば、マイナーは収入源を拡大することができますし、資産の保護にもつながります。同様に、仮想通貨建て資産を用いるブロックチェーンプロジェクトや仮想通貨スタートアップも、リスク管理にデリバティブを利用することができます。

プロトレーダー:仮想通貨市場に造詣が深く、テクニカル分析やファンダメンタル分析を得意とするトレーダーもデリバティブ取引に向いています。市場動向をチェックしながら、投資戦略を立てていくことが不可欠です。

【わかりやすく解説】デリバティブ取引とは? 先物などの投資商品の種類と失敗しないリスク対策とは

デリバティブ取引

(2)債券を原資産とするデリバティブ取引
債券を原資産とするデリバティブ取引は仕組債と呼ばれ、リバース・フローター債やCMS債など色々な商品がある。たとえばリバース・フローター債は、クーポン(利息)が市中金利とは逆の動きをする仕組債だ。金利低下時に受け取れる利息が増えるため、市中金利の下落を予測する投資家にとっては有効な投資先となる。ただし、予想に反し市中金利が上昇した場合は、受け取れる利息が減少する点には注意が必要だ。なお、金利上昇時には債券価格の下落による含み損が発生するが、満期まで保有すれば満額償還されるため元本割れは避けられる。

(3)株式を原資産とするデリバティブ取引
カバード・ワラントは、株式を原資産とするデリバティブ取引の1つ。原資産を一定の期日(権利行使日)に特定の価格(権利行使価格)で買い付ける権利(コール)もしくは、売りつける権利(プット)を証券化した金融商品だ。権利行使価格と実際の株価の差額や、途中売買による差益を狙って投資を行う。値動きの幅が大きくハイリスク・ハイリターンな商品のため、少額からスタートするとよいだろう。

(4)商品を原資産とするデリバティブ取引
商品先物取引および商品先物オプションは、商品を原資産とするデリバティブ取引の1つ。先物取引とオプション取引の詳細は、2.1.で解説する。

(5)通貨を原資産とするデリバティブ取引

1.3. デリバティブの特徴:取引に制限がある。少額で取引を始められる

1.4. デリバティブの利用方法

・デリバティブ取引の利用法1:ヘッジング
デリバティブ取引の利用方法の1つめは、ヘッジング(リスク回避)だ。投資における一番のリスクは、価格変動による損失の発生ではないだろうか。株価や為替、金利などの将来の動きは、誰も的中させることはできない。そのため、投資した資産が予想外の値動きをすると、損失を被ってしまう可能性があるのである。

・デリバティブ取引の利用法2:スペキュレーション
デリバティブ取引の利用方法の2つめは、スペキュレーション(投機)だ。あくまでも投資方法の1つであるデリバティブ取引は、その売買により利益を狙うことが可能である。デリバティブ取引によるスペキュレーションを行う最大のポイントは、資金効率の良さだ。デリバティブ取引は、少ない元手で大きな取引ができる特徴がある。そのため、投資できる余裕資金が少ない人でも、大きなリターンを狙うことができる。

2. 5種類のデリバティブ取引

2.1. 主なデリバティブ取引

・デリバティブ取引の種類1:先物取引
先物取引とは、「将来のあらかじめ定められた期日」に「特定の商品(原資産)」を「現時点で取り決めた価格」で取引をすること。詳細は、以下のとおりだ。

▽先物取引の特徴

デリバティブ取引の先物取引の特徴 詳細
[1]取引の期日が決まっている ・先物取引は期日内であればいつでも取引できる
・期日を過ぎると自動的に決済され、損益が確定する
[2]決済は差金(差額)の受け渡しで行われる ・先物取引の決済は、買建(または売建)価格と転売(または買戻)価格との差額を受け渡して行われる
・商品の受け渡しはせず、損益のやり取りのみで取引が成立するため、少額からの投資が可能
・買いだけでなく、売りからでも取引が成立する
[3]証拠金(担保)の預託が必要 ・商品代金の受け渡しがない先物取引では、証拠金(担保)を預託して取引を行う
・証拠金にはレバレッジ効果があるため、少ない元手で大きな額の取引が可能。たとえば最大レバレッジが5倍の場合に10万円の証拠金を預託すると、50万円までの取引が可能となる

・デリバティブ取引の種類2:オプション取引
オプション取引とは、「将来のあらかじめ定められた期日」に「特定の商品(原資産)」を「現時点で取り決めた価格で売買する権利」を取引すること。

▽オプション取引における4つの立場

暗号デリバティブとは何か 暗号デリバティブとは何か 暗号デリバティブとは何か 暗号デリバティブとは何か
コール(買い付ける権利プット(売り付ける権利)
買い手 コールの買い プットの買い
売り手 コールの売り プットの売り

・デリバティブ取引の種類3:スワップ取引
スワップ取引とは、「ある一定期間」に渡り「将来のキャッシュフロー」を「交換する」取引のこと。キャッシュフローは、少なくとも約定時に等価であることが前提である。

▽代表的なスワップ取引例と特徴

スワップ取引例 特徴
[1]金利スワップ ・同一通貨間で異なる金利のキャッシュフローを交換する取引
・一般的な金利スワップは、固定金利と変動金利で交換される
[2]通貨スワップ ・異なる通貨間で異なる金利のキャッシュフローを交換する取引
・取引開始時および満期時に元本の交換が行われる
[3]クーポンスワップ ・通貨スワップの1つだが、元本の交換は行われず、金利部分のみが交換される
[4]エクイティスワップ ・株価と連動したキャッシュフローと、事前に取り決めた金利を交換する取引
・元本の交換は行われない

2.2. その他のデリバティブ取引

・デリバティブ取引の種類4:クレジットデリバティブ
クレジットデリバティブは、信用リスク(企業が倒産や破綻する可能性)を対象とするデリバティブ取引だ。従来、債務保証や倒産保険などでヘッジされていたものを国際的に統一し、広く流通可能にしたものがクレジットデリバティブである。

・デリバティブ取引の種類5:天候デリバティブ
天候デリバティブは、気温や降水量、日照時間などの気象変動によって企業が被る収入減に対応するデリバティブ取引だ。契約時に取り決めた気象条件が満たされると、補償金が支払われる。実損発生の有無や損害調査が不要で、比較的スムーズに補償金を受け取れる点が魅力といえるだろう。

3. デリバティブ取引のメリットとリスク

3.1. デリバティブ取引のメリット

・デリバティブ取引のメリット1:少ない資金で多額の取引が可能
メリットの1つめは、少額の証拠金の預託で取引をスタートできる点だ。少額から始められるため、投資予算が少ない人でも始めやすいといえるだろう。

・デリバティブ取引のメリット2:夜間でも取引可能
メリットの2つめは、夜間でも取引が可能な点だ。2021年10月時点におけるデリバティブ取引時間は、以下のとおりだ。

▽デリバティブ取引時間

デリバティブ取引例 取引時間
指数先物/指数オプション 8時45分~15時15分/16時30分~翌朝6時
日経平均VI先物 9時~15時15分/16時30分~9時

・デリバティブ取引のメリット3:価格変動リスクの回避手段になる
メリットの3つめは、1.4.でも触れた現物取引に対するリスクヘッジの効果だ。たとえば、すでに保有している株式の価格が今後下がるかもしれないと考えるなら、先物取引で現在の価格での売りを入れるとよいだろう。そうすることで値下がりにより被った現物株式の損失を先物取引の売りで得た利益によって相殺することができる。

3.2. デリバティブ取引のリスクと失敗しないための対策

・デリバティブ取引のデメリット1:取引内容が高度化しているため内容理解が必須
ここまで説明してきたように、デリバティブ取引は商品や取引によって仕組みが異なる。商品内容をしっかりと確認せずに取引を始めると、思わぬ価格やタイミングで売買が発生し、予想外の損失を被る、といった事態になりかねない。

・デリバティブ取引のデメリット2:大きな損失が発生するおそれがある
デリバティブ取引では、損失が大きくなる可能性には十分に気をつけなければならない。レバレッジをかけた取引では大きなリターンが狙える一方で、投資家の支払い能力を超える大きな損失が発生する可能性もあるのだ。

『デリバティブ規制に関する提言書について』
『仮想通貨に関する規制動向』
『ブロックチェーンの相互運用プロジェクトの未来』

(尾関氏)
ペーパーの方でご承知のとおり、提言書の内容を3点に絞らせていただいていてお話させていただきます。これしかないというわけではなく、時間等の制約の都合上、三つに絞らせていただいています。1 点目が、簡単に言ってしまえば、板取引というものが果たして、公設市場に該当するのかという点において、そうではないというスタンスで話がされています。そもそも登録しなければならない条件というのは一体何なのかというところで、いろいろと議論、意見等が出ております。個人的な意見とお断りしますが、こうであるという決着がついているとは感じていません。提言書の中でこまごまと、これはどうだ、あれはどうだ、こういう定義はどうなんだという意見は多く出ておりますが、本日45分しかトータルないので、これだあれだということはあまり説明するのはどうかという気もします。三つ論点があるので、できれば内容的には、一つ目を20分ぐらい、二つ目が10分ぐらい、残り15分ぐらいという具合で考えております。なので、なるべく 5、6分でお話をかいつまんでさせていただいて、あとはご意見ご質問等あればという形にできればと考えます。
とりあえず、1番目のオーダーブック方式での取引の場合、金融市場とすることの弊害という形で、アプローチとしてはそもそも定義とは何なんだという形式論に始まって、実質的にこれを今、板取引をやってらっしゃる業者さんもいれば、ツーウェイクォートという形で、相対取引としてやってらっしゃるお客さまもいるわけですけれども、その中から板取引というモデルを排除した場合に起きる弊害は、いろいろありますという説明をしております。
例えて言えば、板方式によるメリットはまず、カバー先が理論的には不要になることです。カバー 先を持てば、取引先リスクの計算が自己資本規制比率において必要になります。あるいは FXのように、いくらでもAクラスの格付けのある銀行が、カウンターパートとして存在しているわけでもありません。インターバンクに相当するような、透明で公正性が保たれている上流の市場があるわけでもあり ません。そういった状況であくまでもこの商品、いわゆる仮想通貨の相場はまだまだ生まれて間もなく、価格を発見する必要性がある環境に鑑み、まだ板取引を行い、これによって価格を発見し、公正 なる市場を追求していく段階ではないかというのが、一つの意見として出ております。間違っていたらご訂正お願いします。他にメインなポイントとして、河合先生の方から何かあればお願い致します。

(河合氏)
今回の問題は、要するに、世界中でデリバティブ取引というか、いわゆるCFD形式の証拠金取引です。これは板形式で行われることが多いですけれども、当局のご意向として、板取引は金融商品市場、株式市場と同じ、東証と同じような市場に当たる可能性があるというお話があります。そうすると当然ながら免許制になってくるので、もうできませんねとなります。そうするとFXで今されているような、ツーウェイプライス方式というか、自分が間に立って必ず自己玉をぶつけますという取引にするのかどうか、そうした場合、それが本当にいいのかどうかという話をしたということで、今の尾関さんからの説明になっております。
要するにFXと違って、巨大なスポット市場があるわけではない中で、ツーウェイプライスで出すことによって、むしろ価格の透明性が低まってしまうこととか、先ほど尾関さんの方からありましたように、必ずツーウェイ方式だとカバー取らなくてはいけないので、じゃあ誰と相対でカバー取るのですかと、そこの人の信用リスクはどう考えるのですかという問題があります。ということで、板イコール金融商品市場であり、よって市場デリバティブになってしまうという話でもないのではないか、というのがわれわれのご説明をした内容です。

(河合氏)
取りあえず、三つ論点がありますので、今回、オーダーブック方式としてやることが継続できるかという話と、証拠金の倍率の問題と、それから、デリバティブの取引の履行として行った場合に、実際に現物のデリバリーが発生しますけれども、それは資金決済法と金商法で二重規制になるのかどうか、この三つ、非常に実務的に大きなところの提言を、われわれは行っております。今1点目について、ご質問をいただければと思います。
若干、補足すると、資金決済法でする現物取引については、金融商品市場という概念が資金決済法上ないので、これは継続される見込みだと考えています。なので現物の売買というものは板取引になり、場合によってはレバレッジをかけるものについては、現物信用という方式がないわけではないですけれども、現物をやりつつ資金を貸してレバレッジをかける、これは貸金業登録が必要です。そういった形でやるのではなくて、今までどおりCFDという形でやる場合には、FXをされてる方は慣れていると思いますけれども、オーダーブックではなくて、業者の出すツーウェイプライス方式になるかもしれないという話で、そこは実際にどういう弊害があるのかというと、例えば日本では、魅力がないので海外に流れてしまうのかとか、移転があるのではないかなというところです。業者の皆さんは、場合によっては非常に大きなシステム変更、それからサービス変更をしなければならないという点が、非常に重要な点で、業者間ではこれは、非常に活発な議論が行われたところではあります・・・

※第一部の本議事録はJCBA事務局で作成したものです。文責JCBA事務局。
(全体のデータは正会員・特別会員のみ公開)

『仮想通貨に関する規制動向』

日本仮想通貨交換業協会 事務局長 福井 崇人氏

(福井氏)
本日のトピックは仮想通貨業界の規制動向としております。私からはきょうは、まず金融庁事務ガイドライン、こちらは先般9月3日にパブコメの結果が出ており、網羅的な改正になっております。全部説明するには時間も足りませんが、仮想通貨の取り扱いの部分、仮想通貨の範囲や、ICOの部分は、自主規制規則と、金融庁の事務ガイドラインで整合しており、基本的には同じ考え方でできておりますので、事務ガイドラインについて簡単に説明させていただいた後に、JVCEAの先週末に出ましたパブコメの結果を踏まえて、JVCEAのICOに関する自主規制規則のお話をさせていただければと思います。
事務ガイドラインの改正ですけれども、6月21日からパブリックコメント開始されまして、7月に締め切りで、9月3日に結果が公表され、同日から適用が開始されております。下に改訂質問票の公表とありますけれども、新規の登録を目指す業者に対する質問票です。こちらも事務ガイドラインの改正と併せて改正されたものが、パブコメ結果のページで公表されております。
事務ガイドライン改正に関しては、金融庁の概要資料そのものですけれども、ご覧のとおり、金融庁で今まで、中間取りまとめですとか、ICOへの対応ということで、いろいろと監督されてきたものをまとめてガイドラインの改正につなげられております。資料を見ていただいたとおり、取り扱う仮想通貨の適切性の判断基準から、経営管理、利用者保護、AML・CFT、分別管理、流出リスクへの対応、システムリスクということで、網羅的な改正になっています。ICOに対する対応というのも右側で加えられています。ただしこちらは、今回の改正資金決済法の内容そのものは入っていません。ですので、後でもご紹介しますけれども、かなりの部分、JVCEAの自主規制規則を引用する形で、実質的に改正法に近いような内容がここに取り込まれているような立て付けになってます。きょうは、取り扱う仮想通貨の適切性の判断基準と、ICOへの対応という部分だけ、説明させていただきます。他の部分も重要ではありますけれども、時間の関係で割愛させていただきます。

『ブロックチェーンの相互運用プロジェクトの未来』

株式会社LCNEM 代表取締役 木村 優氏

(木村氏)
株式会社LCNEMの代表取締役、木村と申します。本日はよろしくお願いいたしします。日本仮想通貨ビジネス協会の勉強会ということでビジネスの話をしたいのですが、若干技術寄りな話をせざるを得ないので、可能な限りじっくりとかみくだいてやっていきたいと思います。3部まで残っていただき、まずはありがとうございました。では始めていきます。
まず相互運用とはそもそも何なのかという話ですけれども、ブロックチェーン同士を接続させて情報をやりとりできること、という定義になります。まだ抽象的な定義ですけれども、インターオペラビリティを実現すると言われているプロジェクトとして、CosmosとかPolkadot、他にも、広義のインターオペラビリティとしてはBitcoinDrivechainといったものが挙げられます。この中で、厳密にはこれら全てインターオペラビリティと呼ばれていますけれども、ここでは狭義のインターオペラビリティと準インターオペラビリティを分けて解説した方が、整理がつくかなと思いましたので、分けて解説をいたします。インターオペラビリティに含まれるべきプロジェクトとしてCosmosがありまして、概念として準インターオペラビリティに含まれるのがPolkadotとBitcoinDrivechainになります。インターオペラビリティと準インターオペラビリティの違いは、マージバリデーションの有無ですけれども、これについては後ほど解説します。

キャッシュレスを学ぼう(5)-暗号資産(仮想通貨) 暗号デリバティブとは何か | ニッセイ基礎研究所

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この条文は、暗号資産の私法的な性格に踏み込んで定義をしたものではない。一般に理解されている暗号資産とは、図表1のように、ネットワーク参加者(ノード(直訳では結節点)と呼ばれる)間において、ブロックチェーン技術(分散台帳技術) 1 を用いて譲渡・記録される財産的価値をいう。個々の取引の有効性については、マイナー(採掘者)と呼ばれるネットワーク参加者が確認を行う。マイナーはその報酬として新たに暗号資産を取得する(マイニング)。

暗号資産とは

2暗号資産の一形態としてのトークン
すでに数百種類の暗号資産があるとされるが、個人や事業者が発行する暗号資産として「トークン」というものがある。確定した定義はない模様であるが、通常はブロックチェーン技術を利用し、個人や事業者が資金調達のために発行するもの(=データ)とされている。トークンは購入者に対して何ら見返りのないもの(個人や事業者の活動を応援するだけのもの)から、事業により産み出される商品と交換できるもの、あるいは事業の成果を経済的価値で配当するものがある。最後の、配当を行うものは株式や投資商品に近いものであり、セキュリティトークンと呼ばれる。セキュリティトークンは法律上、電子記録移転権利と呼ばれている。その売買等は、通常の事業資金調達と同じものとして、資金決済法ではなく、金融商品取引法で規制がされている。

トークンを新たに発行することをInitial Coin Offering(ICO) と呼んでいる。トークンを購入するに際しては、通常他の暗号資産(ビットコインなど)で払込が行われる。

3――暗号資産にかかる法的規制

暗号資産にかかる法的規制

1資金決済法による規制の対象
資金決済法の、暗号資産の定義は上述したとおりであり、規制の対象から「電子記録移転権利」が除かれている。

2|利用者資産の保護
暗号資産交換業においては、利用者財産の保全の必要性がある。いくつかの規定がある。まず、暗号資産購入のために暗号資産交換業者に払い込まれた金銭については、業者の自己資産と分別して、信託会社等に信託しなければならない(資金決済法第63条の11第1項)。

利用者資産の保護

ホットウォレット・ホットウォレットの仕組み

3業務の適正さの確保
暗号資産交換業者には行為規制が課される。業者が広告を行う際には、業者の商号や登録番号のほか、暗号資産が通貨ではないこと等を表示しなければならない(資金決済法第63条の9の2)。また、利用者を誤認させるような表示を行うこと、もっぱら利益を図る目的で暗号資産を売買することを助長するような表示行為が禁止される(資金決済法第63条の9の3)。暗号資産を信用取引する場合には、暗号資産の性格や手数料等について正確な情報を提供しなければならない(資金決済法第63条の10)。また、犯罪による収益の移転防止に関する法律により暗号資産交換業者には利用者に対する本人確認義務が課されている(法第2条第2項第31号)。

4――金融商品取引法の規制

1電子記録移転権利特有の規制
上述した、ICOにより個人や事業者が、新たに発行する暗号資産の一種であるトークンであって、その保有者に配当等の権利が付与されるもの(流通性の低い一定のものを除く)は、「電子記録移転権利」とされている。電子記録移転権利は、株や投資信託などと同じ第一項有価証券 2 の規制が適用される(金商法第2条第3項)ため、発行に当たっては有価証券届出書の提出(金商法第4条第1項)および目論見書の作成・交付(金商法第13条第1項、第15条第1項)が必要である。また、有価証券報告書による継続開示(金商法第24条)も求められる。このように開示負荷が重いため、技術的な転売制限をしたうえで募集先を50人未満とするなど、少人数私募の要件を満たすようにして開示規制の適用から除外するスキームとするものが多くなるものと想定されている。

なお、電子記録移転権利は、集団投資スキーム持ち分であることが明確化された 3 ことから、発行者が自己募集する場合には、第二種金融商品取引業の登録が必要である(金商法第28条第2項第1号)。(図表5)

電子記録移転権利特有の規制

2 金融商品取引法では流通性の高い第一項有価証券と、流動性の低い第二項有価証券とで分けて規制をしている。電子記録移転権利自体は、集団投資スキームの一種として、信託の受益権や合同会社の社員権などと同様に第二項有価証券とされつつ、類型的に流動性が高いという取引の実態から、募集行為については、金商法第2条第3項によって第一項有価証券の規制が適用されるという複雑な条文構造になっている。
3 金融商品取引法上、集団投資スキームと見うるためには、金銭での払込であることが必要であったところ、セキュリティトークンでは、暗号資産で払込がなされるのが通常であった。そのため、集団投資スキームといえるかどうか疑問があった。今回の改正(金商法第2条の2)で暗号資産による払い込みは金銭による払い込みとみなされることとなった。

2|暗号資産を用いた不公正な行為の規制
金融商品取引法は、マーケット参加者による不公正な行為について、資金決済法の「暗号資産」の定義を引く形で行為規制を行い、上記の電子記録移転権利に限らず、すべての暗号資産に適用される。

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