第百九十八条の二 次に掲げる財産は、没収する。ただし、その取得の状況、損害賠償の履行の状況その他の事情に照らし、当該財産の全部又は一部を没収することが相当でないときは、これを没収しないことができる。
一 第百九十七条第一項第五号若しくは第六号若しくは第二項又は第百九十七条の二第十三号の罪の犯罪行為により得た財産
二 前号に掲げる財産の対価として得た財産又は同号に掲げる財産がオプションその他の権利である場合における当該権利の行使により得た財産 引用元:金融商品取引法第198条の2第1項1号
インサイダー情報となる重要事実とは
金融商品取引法は、インサイダー取引規制にかかる「重要事実」を、大きく、上場会社に関する事実と、子会社に関する事実に分けて詳細に定めています。また、それぞれ、決定事実、発生事実、決算情報、バスケット条項該当事実があるところ、「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」(以下「取引規制府令」といいます)において、決定事実と発生事実については軽微基準(重要事実に該当しない場合)が定められ、また、決算情報については重要事実となる基準が定められています。
(1)上場会社に関する重要事実
- 決定事実(金融商品取引法166条2項1号、取引規制府令49条) 別紙1 上場会社の決定事実(PDF)参照
- 発生事実(金融商品取引法166条2項2号、取引規制府令50条) 別紙2 上場会社の発生事実(PDF)参照
- 決算情報(金融商品取引法166条2項3号、取引規制府令51条) 別紙3 上場会社の決算情報(PDF)参照
- バスケット条項該当事実(金融商品取引法166条2項4号)
(2)上場会社の子会社に関する重要事実
- 決定事実(金融商品取引法166条2項5号、取引規制府令52条) 内部者取引 別紙4 子会社の決定事実(PDF)参照
- 発生事実(金融商品取引法166条2項6号、取引規制府令53条) 別紙5 子会社の発生事実(PDF)参照
- 決算情報(金融商品取引法166条2項7号、取引規制府令55条) 別紙6 子会社の決算情報(PDF)参照
- バスケット条項該当事実(金融商品取引法166条2項8号)
決定事実(金融商品取引法166条2項1号・5号)
業務執行を決定する機関
「会社の業務執行を決定する機関」とは、会社法所定の決定権限のある機関に限られず、実質的に会社の意思決定と同視されるような意思決定を行うことのできる機関であれば足りると解されています(最高裁平成11年6月10日判決・刑集53巻5号415頁)。そして、どのような機関が業務執行を決定するかは、それぞれの会社や決定する事柄によって個別に判断することになりますので、個人であるか合議体であるかも問いません。
行うことについての決定
また、「決定」をしたというためには、業務執行決定機関において、その実現を意図して行ったことは必要ですが、実現可能性があることが具体的に認められることは不要と解されています。もっとも、実現可能性が全くあるいはほとんど存在せず、一般の投資者の投資判断に影響を及ぼすことが想定されないために、「決定」としての実質を有しない場合もあり得るとされています(最高裁平成11年6月10日判決・刑集53巻5号415頁、最高裁平成23年6月6日判決・刑集65巻4号385頁)。
行わないことの決定
発生事実(金融商品取引法166条2項2号・6号)
決算情報(金融商品取引法166条2項3号・7号)
バスケット条項該当事実(金融商品取引法166条2項4号・8号)
金融商品取引法166条2項4号は「当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」を掲げ、同項8号は「当該上場会社等の子会社の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」を掲げています。これらは、バスケット条項と呼ばれます。
しかし、上場会社・子会社の事情であれば、決定事実や発生事実の「軽微基準」に該当するものであっても、それに包摂・評価されない側面があればバスケット条項が適用される可能性があり(最高裁平成11年2月16日判決・刑集53巻2号1頁)、バスケット条項の範囲は明らかとはいえません。
実務的には、証券取引等監視委員会の「課徴金事例集」などを参考にしながら、個別に判断するほかなく、弁護士等の専門家に相談するなど、慎重な対応をすることが望ましいでしょう。
【関連するBUSINESS LAWYERS LIBRARYの掲載書籍】
『金融商品取引法概説〔第2版〕』
発売日:2017年07月28日
出版社:有斐閣
編著等:山下 友信、神田 秀樹
BUSINESS LAWYERS LIBERARYで読む
『スタンダード商法IV 金融商品取引法』
発売日:2021年01月21日
出版社:法律文化社
編著等:徳本 穰
BUSINESS LAWYERS LIBERARYで読む
インサイダー情報となる重要事実とは
金融商品取引法は、インサイダー取引規制にかかる「重要事実」を、大きく、上場会社に関する事実と、子会社に関する事実に分けて詳細に定めています。また、それぞれ、決定事実、発生事実、決算情報、バスケット条項該当事実があるところ、「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」(以下「取引規制府令」といいます)において、決定事実と発生事実については軽微基準(重要事実に該当しない場合)が定められ、また、決算情報については重要事実となる基準が定められています。
(1)上場会社に関する重要事実
- 決定事実(金融商品取引法166条2項1号、取引規制府令49条) 別紙1 上場会社の決定事実(PDF)参照
- 発生事実(金融商品取引法166条2項2号、取引規制府令50条) 内部者取引 別紙2 上場会社の発生事実(PDF)参照
- 決算情報(金融商品取引法166条2項3号、取引規制府令51条) 別紙3 上場会社の決算情報(PDF)参照
- バスケット条項該当事実(金融商品取引法166条2項4号)
(2)上場会社の子会社に関する重要事実
- 決定事実(金融商品取引法166条2項5号、取引規制府令52条) 別紙4 子会社の決定事実(PDF)参照
- 発生事実(金融商品取引法166条2項6号、取引規制府令53条) 別紙5 子会社の発生事実(PDF)参照 内部者取引
- 決算情報(金融商品取引法166条2項7号、取引規制府令55条) 別紙6 子会社の決算情報(PDF)参照 内部者取引
- バスケット条項該当事実(金融商品取引法166条2項8号)
決定事実(金融商品取引法166条2項1号・5号)
業務執行を決定する機関
「会社の業務執行を決定する機関」とは、会社法所定の決定権限のある機関に限られず、実質的に会社の意思決定と同視されるような意思決定を行うことのできる機関であれば足りると解されています(最高裁平成11年6月10日判決・刑集53巻5号415頁)。そして、どのような機関が業務執行を決定するかは、それぞれの会社や決定する事柄によって個別に判断することになりますので、個人であるか合議体であるかも問いません。
行うことについての決定
また、「決定」をしたというためには、業務執行決定機関において、その実現を意図して行ったことは必要ですが、実現可能性があることが具体的に認められることは不要と解されています。もっとも、実現可能性が全くあるいはほとんど存在せず、一般の投資者の投資判断に影響を及ぼすことが想定されないために、「決定」としての実質を有しない場合もあり得るとされています(最高裁平成11年6月10日判決・刑集53巻5号415頁、最高裁平成23年6月6日判決・刑集65巻4号385頁)。
行わないことの決定
発生事実(金融商品取引法166条2項2号・6号)
決算情報(金融商品取引法166条2項3号・7号)
バスケット条項該当事実(金融商品取引法166条2項4号・8号)
金融商品取引法166条2項4号は「当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」を掲げ、同項8号は「当該上場会社等の子会社の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」を掲げています。これらは、バスケット条項と呼ばれます。
しかし、上場会社・子会社の事情であれば、決定事実や発生事実の「軽微基準」に該当するものであっても、それに包摂・評価されない側面があればバスケット条項が適用される可能性があり(最高裁平成11年2月16日判決・刑集53巻2号1頁)、バスケット条項の範囲は明らかとはいえません。
実務的には、証券取引等監視委員会の「課徴金事例集」などを参考にしながら、個別に判断するほかなく、弁護士等の専門家に相談するなど、慎重な対応をすることが望ましいでしょう。
【関連するBUSINESS LAWYERS LIBRARYの掲載書籍】
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発売日:2017年07月28日
出版社:有斐閣
編著等:山下 友信、神田 秀樹
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編著等:徳本 穰
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内部者取引
社員等を発端としてインサイダー取引が行われると、企業は該当 の社員へ懲戒処分を検討すれば済む話ではなく、企業自身も 刑事罰や課徴金の対象となり経済的な損失を被ります。 内部者取引 また、顧客、取引先、金融機関といった対外的な信頼を失い、 それによって顧客離れや売上の減少等、更には企業存続に関わ るリスクも存在します。
「疑われる」だけでも、調査や捜査への対応に人材や時間を費 やすため、大きなダメージを被ります。
こうしたリスクを最小化するために、企業はどのような取り組みを行うべきなのでしょうか。
小規模な企業の場合、たとえば、 経営者も含めたすべての従業員が参加する形で、情報管理に関する定期的な話し合いの場を設け、情報管理の報告やルールの見直しを行う 方法が考えられます。定期的な話し合いによって社員が当事者意識をもちやすくなり、現場の実情に即した柔軟な対応も可能となります。
大規模な企業の場合、 コンプライアンス部門やリスク管理委員会といった組織を設立する、あるいはすでにある組織に情報管理機能をもたせる といった方法で、組織的に管理する必要性が生じます。これらの組織には各部署の責任者を参加させ、責任者を通じて各部署における情報管理を徹底させるなど、横断的な対策も求められます。
社内規定はすでにあるし、改正については法令を見れば済むのだからと放置するのではなく、 改正が行われたら規定に反映させ、その都度、管理体制の見直しを図る のが望ましいでしょう。見直されたタイミングで規定を再度周知することで、役員や社員に対する注意喚起にもつながります。
研修では、 本記事1~3章の内容を中心に社員たちが身近に捉えられる事例を交えながら、他人事ではなく自らの問題と認識できるよう工夫してプログラムを作成 しましょう。また、1回だけで終わらせるのではなく、定期的に最新の動向や事例紹介などを追加して研修を実施し意識を根付かせるように仕向けることも大切です。
また、 社外役員(社外取締役、社外監査役)についてもインサイダー取引規制に違反するリスクがあるため、こちらも対策が必要 です。平成30年(2018年)6月には証券取引等監視委員会が、上場企業の元社外取締役の男性を、取引推奨とインサイダー取引の罪で初の刑事告発を行っています。社外役員に関しては社員らとは知り得る情報が異なるため、社内向けの研修とは別に研修を受けてもらうのが望ましいでしょう。
インサイダー取引とは|発覚する理由・罰金や懲役・事例を紹介
引用元:インサイダー取引について|証券取引等監視委員会
インサイダー取引については、対象者、重要事実、公表の3点が重要な構成要素で、まずは、それぞれの用語について解説します。
対象者は会社関係者と情報受領者の2つに分類されます。
会社関係者
インサイダー取引規制によると、会社関係者には、 上場企業の取締役や社員はもちろん、パートやアルバイト なども含まれます。さらに、法令に基づく権限を有する者やその会社と契約を締結している者も含まれますので、 許認可権限を有する公務員やコンサルタント業者 なども会社関係者に含まれます。
情報受領者
情報受領者とは、会社関係者を通して重要事実について知った人間のことを指します。以下のケースのように、従業員のなど家族、 会社内部の人間でない場合 も該当します。
[ワシントン 28日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)は28日、米アマゾン・ドット・コムAMZN.Oの元財務マネジャーと家族2人を提訴した。2016─18年の間、同社の決算情報を事前に得てインサイダー取引をした疑いがある。 容疑がかけられたのは、アマゾンの税務部門でシニア・マネジャーを務めていたラクシャ・ボーラ氏。同社の業績に関する機密性の高い情報を夫に知らせていたとされる。 訴状によると、ボーラ氏の夫とその父は、事前に得た情報を元にインサイダー取引を実行。不正に約140万ドルを得たという。 連邦証券法の規定に違反しているとして、SECはボーラ氏ら3人をシアトルの連邦裁判所に提訴した。3人は不正に得た総額約142万ドルの返還のほか、審理前利息の約11万ドル、制裁金総額約110万ドルの支払いに合意した。
引用元:米SEC、アマゾン元財務マネジャーら提訴 インサイダー取引で|ロイター
重要事実とは、 会社の株価変動にかかわるような情報 のことを指します。インサイダー情報とも呼ばれます。
重要事実は、決定事実、発生事実、決算情報、バスケット条項(その他)などに分類されます。
決定事実(金融商品取引法第166条2項1号)
発生事実(金融商品取引法第166条2項2号)
決算情報(内部者取引 金融商品取引法第166条2項3号)
バスケット条項(その他)(金融商品取引法第166条2項4号)
3月7日。証券取引等監視委員会(以下、監視委員会)は、旭化成の子会社・旭化成建材の社員がインサイダー取引をしたとして、課徴金の納付命令を出すようにと内閣総理大臣と金融庁長官に勧告した。
監視委員会によれば、2015年10月、この社員は旭化成建材が施工した杭工事にデータの転用・加筆があったことを打合せの場で知った。この社員は、旭化成の株を当時8000株保有しており、うち3000株を同年10月7日と同9日に売却した。
翌週の14日午前10時半。親会社の旭化成はデータ転用・加筆の事実を開示した。前日13日の終値は930円、当日は13円しか下げなかったが、翌日には125円も下げた。20日には一時700円台を割り込むなど、データ転用・加筆の株価への影響は小さくなかった。
この社員は神奈川県在住の50歳代男性だという。現在も旭化成建材の社員かどうかなど「今現在の立場は把握していない」(監視委員会)。少なくとも、当時、工事担当者ではなかった。
引用元:旭化成建材、63万円インサイダー摘発の深謀|東洋経済オンライン
子会社に関する重要事実(金融商品取引法第166条2項5号から8号)
公表(金融商品取引法第166条4項)
重要事実について公表されたあとであれば、対象者でも株式等の売買が可能 です。公表については以下のように定義されており、どれか1つさえ該当すれば公表済みとなります。
インサイダー取引が発覚する理由
年度 | H17~24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 |
勧告件数 | 168 | 42 | 42 | 35 | 51 | 26 | 33 | 29 | 6 |
インサイダー取引に関する事件は、毎年一定数発生しています。インサイダー取引は、売買審査や内部告発などによって発覚します。
引用元:売買審査の状況(2018年4月~2019年3月)|日本取引所グループ
インサイダー取引の監視については、日本取引所グループの傘下である日本取引所自主規制法人が担当しています。業務内容は、 特定銘柄の売買状況に関する調査や、取引状況に関する審査 などです。
もし違法性が確認できる場合には、速やかに証券取引等監視委員会へ通達、課徴金納付勧告など適切な措置が下されます。
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インサイダー取引に関する罰則と事例
インサイダー取引については、金融商品取引法第166条にて禁止されています。
(会社関係者の禁止行為)
第百六十六条 …上場会社等に係る業務等に関する重要事実…については、当該子会社の業務等に関する重要事実であつて、…当該各号に定めるところにより知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け、合併若しくは分割による承継…又はデリバティブ取引…をしてはならない。
引用元:金融商品取引法第166条1項
3 会社関係者…から当該会社関係者が第一項各号に定めるところにより知つた同項に規定する業務等に関する重要事実の伝達を受けた者…又は職務上当該伝達を受けた者が所属する法人の他の役員等であつて、その者の職務に関し当該業務等に関する重要事実を知つたものは、当該業務等に関する重要事実の公表がされた後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等に係る売買等をしてはならない。
引用元:金融商品取引法第166条3項
インサイダー取引の罰則
インサイダー取引の罰則については以下のように定められており、 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金 、法人については 5億円以下の罰金 が科せられます。
第百九十七条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
十三 第百五十七条、第百五十八条若しくは第百五十九条の規定に違反した者(当該違反が商品関連市場デリバティブ取引のみに係るものである場合に限る。)又は第百六十六条第一項若しくは第三項若しくは第百六十七条第一項若しくは第三項の規定に違反した者
引用元:金融商品取引法第197条の2第13号
第百九十八条の二 次に掲げる財産は、没収する。ただし、その取得の状況、損害賠償の履行の状況その他の事情に照らし、当該財産の全部又は一部を没収することが相当でないときは、これを没収しないことができる。
一 第百九十七条第一項第五号若しくは第六号若しくは第二項又は第百九十七条の二第十三号の罪の犯罪行為により得た財産
二 前号に掲げる財産の対価として得た財産又は同号に掲げる財産がオプションその他の権利である場合における当該権利の行使により得た財産引用元:金融商品取引法第198条の2第1項1号
(法人でな第二百七条 法人い団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
二 第百九十七条の二(第十一号及び第十二号を除く。)又は第百九十七条の三 内部者取引 五億円以下の罰金刑
引用元:金融商品取引法第207条1項2号
SBIフューチャーズ株式会社株式に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の決定について
2011/01/07 金融法務, 金融商品取引法, 金融・証券・保険
(1)納付すべき課徴金の額金10万円
(2)納付期限平成23年2月28日
課徴金の計算の基礎
金商法第175条第1項第2号に基づき、課徴金の額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、重要事実の公表後2週間における最も高い株価は、平成21年5月11日の42,550円であることから、課徴金の額は次のとおりとなる。
(42,550円×6株)-(24,000円×1株 + 24,510円×2株 + 25,000円×3株)
=107,280円
課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、10万円となる。
第百七十五条 第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、同条第一項に規定する売買等をした者があるときは、内閣総理大臣は、次節に定める手続に従い、その者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額(次の各号のうち二以上の号に掲げる場合に該当するときは、当該二以上の号に定める額の合計額)に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
二 第百六十六条第一項又は第三項の規定に違反して、自己の計算において有価証券の買付け等(同条第一項に規定する業務等に関する重要事実の公表がされた日以前六月以内に行われたもの(当該公表がされた日については、当該公表がされた後に行われたものを除く。)に限る。以下この号において同じ。)をした場合 次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額
イ 当該有価証券の買付け等について業務等に関する重要事実の公表がされた後二週間における最も高い価格に当該有価証券の買付け等の数量を乗じて得た額
ロ 当該有価証券の買付け等について当該有価証券の買付け等をした価格にその数量を乗じて得た額
企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、 11年以上前 に投稿された記事です。法律に関連する記事の特性上、法改正や特別法の施行、経過措置期間の経過、新たな条文解釈を示唆する判例の登場などにより、記事の内容と現在の法律運用・解釈との間に齟齬が生じている可能性もございます。何卒、ご注意ください。
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