・上腕動脈
オンラインHDF① -オンラインHDFの基礎-
1) HD(血液透析)
透析と呼ばれている治療法の主流です。1968年に健康保険が適用されてから、すでに46年の歴史があります。血液をダイアライザーに通して透析液と接すると、尿素窒素やクレアチニンなどが透析膜にあいているごく小さい穴を通って透析液に滲み出てきます。この性質を利用して体内に蓄積した尿毒症物質(尿毒素)を除去し、あわせて半強制的に除水します。しかし、尿毒素には、尿素窒素やクレアチニンだけではなく、分子量がもっと大きい物質も含まれることが明らかになり、透析膜の穴を大きくして分子量が大きい物質も除去できる高性能の透析膜が開発されてきました(穴といっても、血液中の重要な成分である赤血球や蛋白質などは抜けません)。
2) HDF(血液透析 濾過 )
大量の水分を容易に濾過できる膜を使って体液の一部を廃棄し、同時に大量の補充液を体内に注入する、いわば古い体液を新しい体液に置き換える方式です。自動化された機器によって水分バランスを計測し、体液の過不足がないように監視します。
①オフラインHDF: 点滴注射のように吊り下げたボトルから補充液を注入します。たくさんのボトルを準備しなければなりませんから、交換する体液量はたかだか10L前後です。
②オンラインHDF: サポートラインの基礎と原理をやさしく解説 大量の体液(25~50L)を除去し、その代わりほぼ等量の透析液を体内に注入して体液を補充します。
2.HDFは、分子量が大きい尿毒素も
効率よく除去する
HDFは、分子量が大きい尿毒素を効率よく除去することができます。しかし、尿素窒素やクレアチニンのように分子量が小さい尿毒素を除去する効率はHDより劣るため、HDを併用して、分子量が小さい物質から大きい物質まで広範囲の物質を取り除くことができるように工夫されています。濾過と透析という原理を併用することから、HDF(血液透析濾過)と名づけられています。
かつて、HDFは、β2ミクログロブリン(β2MG)というアミロイドの原因物質を除去する効率が高く、血中β2MG濃度30mg/L以下という暫定的な目標値を達成しやすいため、アミロイドーシスの予防と治療を主目的として使われました。しかし、その後透析膜の進歩によってHDとHDFの差が小さくなったため、HDFはさらに分子量が大きい蛋白質の一種であるアルブミンと同じサイズの尿毒素まで取り除くことを目指して発展してきました。
圧迫止血とは|直接圧迫止血法と間接圧迫止血法の手順と注意点〜根拠がわかる看護技術
4.ガーゼを当てて、出血点を示指、中指、薬指の3本の指を使って、できる限り強い力で圧迫します。
圧迫による皮膚組織の損傷のリスクはほとんどありません。それよりも止血が優先されます。
ここに注意! 母指は感覚が鈍く、小指は力が入りにくいため、示指、中指、薬指の3本の指を使うようにします。片手で効果がない場合には、両手でしっかりと圧迫するようにします。
5.新たな出血がみられなくなったら、ガーゼを外し、出血していないことを確認し、創の保護をします。
再出血を起こさないように、出血部位を圧迫用枕子(やわらかい棒状の枕)で保護しテープで固定し、その上から包帯を巻くこともあります。
6.患者さんに止血が終わったこと、しばらくは出血部位を安静に保つこと、再出血したときはすぐに知らせてもらうようにすることを伝えます。
7.止血後は定期的に、患部の状態、患者さんの様子やバイタルなどを確認しましょう。
間接圧迫止血法
間接圧迫止血法の圧迫部位
間接圧迫止血法の注意点
用手による圧迫
間接圧迫止血の止血部位
間接圧迫止血の止血方法例
・上腕動脈
・腋窩動脈
・橈骨動脈と尺骨動脈
・大腿動脈
止血帯や器機による圧迫
●止血帯
出血部位に近い中枢側の動脈を止血帯で強く巻きます。なるべく幅の広い止血帯を使用するようにします。
●加圧器とタニケットカフ
タニケットカフに加圧器で空気を送り込んで圧迫します。通常、加圧の目安は、上肢で血圧+100程度、下肢では血圧の2倍となります。ただし、どんなに高く加圧しても300mmHgまでとします。それ以上の加圧は軟部の損傷が懸念されるため、加圧しないように注意しましょう。
※使用例
1)木野毅彦:止血法.Emergency Care 2015;25(3):28-9.
2)日本救急看護学会,監修:外傷初期看護ガイドライン 第4版,へるす出版,2018.
明日から実践!保育の「5領域」完全マスター~「3つの柱・10の姿」も解説~
5領域は、保育所や幼稚園での教育目標を具体的に設定するための領域で、以下の5つのことを指します。
健康 | 心身の健康に関する領域 |
---|---|
人間関係 | 人とのかかわりに関する領域 |
環境 | 身近な環境とのかかわりに関する領域 |
言葉 | 言葉の獲得に関する領域 |
表現 | 感性と表現に関する領域 |
各領域のねらいと内容
「ねらい」は保育園を卒園するまでの間に育つことが期待される、生きる力の基礎となる心情、意欲、態度などを指すよ。
子ども達が保育園でさまざまな体験を積み重ねる中で、少しずつ達成に向かっていくのが望ましいね!
健康 | |
---|---|
ねらい | ・明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう ・自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする ・健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける |
内容 | ・先生や友達と触れ合い、安定感をもって行動する。一緒に食べることを楽しむ ・いろいろな遊びの中で進んで戸外に出て、十分に体を動かす ・さまざまな活動に親しみ、楽しんで取り組む ・健康な生活のリズムを身に付ける ・身の回りを清潔にし、衣服の着脱や食事、排泄などの生活に必要な活動を自分でする ・自分の健康に関心を持ち、病気の予防などに必要な活動を進んで行う ・危険な場所や危険な遊び方、災害時などの行動の仕方がわかり、安全に気を付けて行動する | サポートラインの基礎と原理をやさしく解説
人間関係 | |
---|---|
ねらい | ・園での生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう ・身近な人と親しみ、かかわりを深め、愛情や信頼感をもつ ・社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける |
内容 | ・先生や友達と共に過ごすことの喜びを味わう ・自分で考え、自分で行動する。自分でできることは自分でする ・いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。 ・友達と積極的にかかわりながら関係を深め、喜びや悲しみを共感し合い、思いやりを持つ ・自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く ・友達のよさに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう。友達と共通の目的を見出して工夫したり協力したりする ・良いことや悪いことがあることに、決まりの大切さに気付き、考えながら行動する ・高齢者をはじめ地域の人々など、自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しみをもつ |
環境 | |
---|---|
ねらい | ・身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中でさまざまな事象に興味や関心を持つ ・身近な環境に自分から関わって発見を楽しんだり考えたりし、それを生活に取り入れようとする ・身近な事象を見たり考えたり扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする |
内容 | ・自然に触れて生活し、その大きさや美しさ、不思議さなどに気付いて関心を持つ。取り入れて遊ぶ ・生活の中でさまざまな物に触れ、その性質や仕組みに興味や関心をもつ。 ・季節により自然や人間の生活に変化のあることに気付く ・身近な動植物に親しみをもって接し、生命の尊さに気付き、いたわったり大切にしたりする ・身近な物や遊具に興味を持ち、考えたり試したりして工夫して遊ぶ。 ・日常生活の中で数量や図形、簡単な標識や文字などに関心を持つ |
言葉 | |
---|---|
ねらい | ・自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう ・人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう ・日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、先生や友達と心を通わせる |
内容 | ・先生や友達の言葉や話に興味や関心をもち、親しみをもって聞いたり話したりする ・自分の考えたことや感じたこと、欲求を言葉で表現する ・人の話を注意して聞き、相手に分かるように話す ・親しみをもって日常のあいさつをする ・絵本や物語などに親しみ、興味をもって聞き、想像をする楽しさを味わう |
表現 | |
---|---|
ねらい | ・いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ ・感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ ・生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ |
内容 | ・生活の中で様々な音、色、形、手触り、動きなどに気付いたり、感じたりするなどして楽しむ ・生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ、イメージを豊かにする ・さまざまな出来事の中で、感動したことを伝え合う楽しさを味わう ・感じたこと、考えたことを音や動きなどで表現したり、自由にかいたり作ったりする ・いろいろな素材に親しみ、工夫して遊ぶ ・自分のイメージを動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだりするなどの楽しさを味わう |
5領域を毎日の保育に活かす実践法を紹介!
5領域を意識して保育を行うと聞くと、「どのようなプログラムを考えればいいの?」「子どもへの接し方は?」などなど、難しく感じてしまいますよね。
ですが、5領域という視点で保育を考える目的は、保育を通じて子ども達の個性や能力を伸ばしていくことと非常にシンプル。
子ども達が楽しみながら成長していけることを念頭に置いておけば、自然と5領域を満たす形になるはずです。
日々の保育を振り返る際に「あのときの対応、5領域で考えたらどうするべきだったかな……」といった指針にしてみてもいいかもしれませんね。
「健康」領域での実践法
これまで幾度となく改訂されてきた保育所保育指針の変遷から読み取る限り、「健康」領域の対象となるのは主に遊び、衣服の着脱、生活習慣、清潔、食育、安全といった要素。
それぞれどのような観点で指導していくべきかを見て行きます。
遊び 「遊び」は物を投げる、拾うなどといった身体的な技術を獲得するためのものです。それを念頭に置いておくようにしましょう。
そこに心身の発達を組み合わせ、「子ども達にどのような動作・技術を教えるか?」という観点で教育内容とその範囲を定めます。
文部科学省が発表している「幼児期運動指針」には子ども達に習得してほしい身体の動きについて細かく記載されているので、こうしたものを参照しながら遊びの内容を決めてもいいですね。 衣服の着脱、生活習慣、清潔 これらの内容は園の生活の中で常に指導機会を窺うことが大切です。
特に「清潔」に関わるトイレトレーニングは、発達状況によって子ども一人ひとりの困難が異なります。それぞれのニーズに応えて教育内容を決めるためにも、日々の観察とニーズの把握は欠かせません。
入園から卒園までをトータルに考えて、今はどのような援助が必要なのかを明確にすることが大切です。 食育 「食育」は園での食事そのものが学習の対象となります。
子どもは食事することで味や食感を経験するため、それだけでも「食育」になり得ますが、保育士としてはここでさらに「何を食べているのか」「どうして食べるのか」といった疑問を投げかけてあげましょう。
食に対する「なぜ」を問うことで、子どもの興味関心を刺激することができます。
保育園・幼稚園での「食育」ってなんだ?年齢別のねらいや重要性を解説! 昨今、保育園や幼稚園で重要視されるようになった「食育」。 食育は子どもに「食の大切さ」を伝えるためのもので、今では多くの園がその活動に.
安全 「安全」の指導は子どもの発達に大きく関わります。なぜなら言語能力の発達していない時期の子どもに文章で示されているハザードマップを読ませても、効果的な指導とは言えないからです。
子どもと同じ目線の高さを体験しながら、一緒にハザードマップを作ったり園内や園外での危険な場所を明確化させたりする必要があります。
「人間関係」領域での実践法
乳児との関わり 乳児とのかかわりで大切なのは、子どもに身近な人とともに過ごす喜びを感じてもらうこと。その上で信頼関係と愛着が芽生えるように接します。
お昼寝から起きた後や食事の後など、子どもが満足しているタイミングで1対1のあやし遊びなどをしてあげるとよいでしょう。優しい声でゆっくりあやしてあげるのがポイントです。 1~2歳児との関わり 1~2歳児は言語発達が進んでいくほか、立つ・歩く・走るなどの運動機能も発達します。生活リズムが安定して探索活動が盛んになる一方、自分の気持ちを言葉で伝えきれずかんしゃくを起こしてしまうことも……。
子供の気持ちを代弁してあげたり、言葉を補ってあげたりしながら、応答的に接していくのがよいですね。 3~5歳児との関わり 3歳以上になると生活習慣が確立され、身の回りのことを自分でできるようになります。語い数も増え好奇心も強くなり、周囲の友達との関係を深めていくようにもなります。
保育士が主体的に接するより、年長児の力を借りながら、子ども同士で教え合ったり話し合ったりする関係を側面からサポートすることを意識しましょう。
「環境」領域での実践法
保育士がどのように自然と触れ合っているかをモデルにして、子ども達は自然に対する学びを得ていくことになります。
まずは子どもと一緒にありのままの自然を感じながら、保育士自身がその面白さや美しさに心を動かすことが大切です。
その上で子どもが感じ取った自然の姿をフィードバックし、それが自分達にとって意味のあるものだ、とわかってもらえるように援助します。
「言葉」領域での実践法
子どもの言葉の育ちには、自然な遊びや生活の中で力を伸ばしていこうとするインリアル法が効果的です。
以下はその具体的な技法になりますが、これは乳児相手にも使えるものなので、ぜひ覚えておくとよいですね。
子どもの行動や気持ちを代弁してあげる 子どもが転んで泣いてしまったときなどに「痛かったね」「ごっつんこしたね」など気持ちを代弁してあげると、子どもは自分のことをわかってもらえているという安心感を得ることができます。気持ちや状況の整理をすることにも繋がります。 保育士から率先して行動や気持ちを口に出して言う 「ご飯食べたから着替えようかな」「お腹いっぱいだなあ」など、大人が自分の気持ちを言葉で表現します。子どもはそれを聞いて見本とするので、自分の気持ちを表現する学びを与えることができます。 言い間違いを正しく直して聞かせる 「みどり」を「たたり」と言い間違えたり、「消防車」を「そぼしゃ」と発音しきれなかったり……構音の確立していない子どもには、言葉を誤ったまま言ってしまうことが多々あります。
その際は子どもに言い直させたり、あるいは大人が間違いに合わせるのではなく、「みどりだね」「消防車だね」と正しい発音を返すようにしましょう。
子どもの言い間違いはとても可愛いものですが、だからと言ってそれをからかったりするのはNGです。
「表現」領域での実践法
子どもにとって、絵を描いたり物を作ったりする造形表現は、感動を表すために色や形で遊ぶことが基本となります。 サポートラインの基礎と原理をやさしく解説
作っている過程が大事なのであり、ただ見たもの描けばいいとかできのいいものを作ればいいとかいう話ではありません。
保育士も子どもと同じ視点に立って、ともに造形を楽しみましょう。
5領域を組み合わせた保育の実践例
先述の通り、5領域を意識した保育は普段から園で行っているものと重なることが多々あります。
知らず知らずのうちに実践できていた……という保育士さんも少なくないのではないでしょう。
ここでは日々の保育がどのような形で5領域に対応しているか、3~5歳児向けの「お店屋さんごっこ」を参考にして見てみましょう。
- 何屋さんを演じるか、店員さん役とお客さん役をどう分担するかは子ども達で相談して決める
- お店の外観や品物を自分達で作る
- おもちゃのお金を使って、子ども同士で品物を売ったり買ったりする
健康 | ・商品を作るとき、はさみやセロハンテープを安全に使う ・後片付けをきちんとする |
---|---|
人間関係 | ・友達と相談し、一緒に取り組む ・ごっこ遊びのルールを守る ・自分の考えを伝えたり、周りの考えを受け入れたりする |
環境 | ・身近なお店の仕組みを真似する ・実際のお店を参考にして外観を作ったり、品物の値段を決める |
言葉 | ・「いらっしゃいませ」「○○円です」など、必要な言葉を使う ・「これください」「いくらですか」など、自分の要求を伝える ・看板の字や商品の値段を書く |
表現 | ・身近な物の色や形、手触りなどを感じ、商品づくりに活かす ・店員さんやお客さんを演じる |
「3つの柱」「10の姿」とは?
2018年、幼児教育の改善・充実を目的として、「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の3つが同時に改訂されました。
この改訂で特に注目するべき点は保育園・幼稚園・認定こども園のどの施設に通っていても同じ質の教育が受けられるよう、各指針・要領の内容が共通化されたこと。
また、小学校以降の学習指導要領も同じように改訂され、乳幼児教育と小学校教育との接続の強化がなされました。
ここでは保育所保育指針の改正によって明確化された、保育の「3つの柱」「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」について解説します。
5領域とも合わせると混乱してしまいそうになりますが、ステップごとに考えればすぐに覚えられますよ!
3つの柱は育みたい能力・資質を3つに分けたもので、「知識および技能の基礎」「思考力・判断力・表現力等の基礎」「学びに向かう人間性等」があります。
保育園・幼稚園・こども園・小学校を超えて共有し、生涯にわたる生きる力の基礎を培うことを目指します。
幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿
幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿は、できているかできていないかの到達度評価ではなく、どのような経験を子ども達に保障できているかを捉えるための観点です。
これらが明確になったことで、行うべき保育の方向性がよりわかりやすくなったといえます。
- 健康な心と身体
- 自立心
- 協同性
- 道徳性・規範意識の芽生え
- 社会生活との関わり
- 思考力の芽生え
- 自然との関わり・生命尊重
- 数量・図形、文字等への関心・感覚
- 言葉による伝え合い
- 豊かな感性と表現
図でイメージするとこのような形になります。
子どもの発達に合わせて、適した視点で保育を行えるといいですね!
超音波の基礎
人間が聞こえる音(サポートラインの基礎と原理をやさしく解説 可聴音)の周波数は、通常20Hzから20,000Hzの範囲で、可聴音を超える高い振動数の弾性振動波(サポートラインの基礎と原理をやさしく解説 音波)のことを「超音波」と呼びます。 超音波は指向性が高いことから、反射した音波の情報をもとに、自然界ではこうもりが暗闇の中を飛ぶ際の障害物を探知したり、 イルカや鯨が海中の障害物や餌となる魚の探知に利用しています。動物のこのような能力を「エコーロケーション(echolocation:反響定位) 」と呼びます。
人間はこれをまねて海中で潜水艦を見つけるソナーを発明し、今ではそれを応用した非破壊検査のほか、医療診断、魚群探知、厚さ測定などさまざまな分野で利用しています。
周波数と透過力、分解能の関係
超音波検査では、水などの液体を媒体にして固体物質へ超音波を伝搬させ、内部から反射源となるボイド、剥離、クラックの欠陥などによる反射信号(エコー)を計測します。
超音波は物質内を伝わる透過力と分解能が周波数に対して相反する関係にあり、低めの超音波は深いところまで届いて反射音が返ってきますが、微小なことが解りません。
逆に、高めの超音波は微小なことが解りますが、深いところまでは届きません。
そのため、検査対象に合わせて適切な周波数の選定が重要となります。
超音波の反射
超音波で画像化する
実際の超音波映像と剥離検出能力
実際の検査装置の動作
2軸スキャナ
細く絞った超音波を検査対象に向けて発信し、返って来た反射波を受信するため、プローブ(探触子)と呼ばれるデバイスを用います。 プローブを面内の任意の位置に高位置精度で移動させるためのスキャナと言われる機構に取り付け、特定の位置でパルス状の超音波を発信/受信し、 得られた受信信号をデジタル信号に変換して画像処理装置で計算して画像に濃淡の点を表示します。
所定のエリア内を走査しながら上記処理を繰返し、画面を濃淡の点で埋めることで、反射音の強弱の分布を表す画像が得られます。 この画像を基に内部の様子を判断しますが、FineSATでは解析ソフトウエアを使って欠陥部分等の自動判定を行なうことができます。
超音波の送信と受信を繰返しながら走査
測定画像
(反射超音波強度画像)
超音波ビームの収束
一般に走査型顕微鏡では高精細な画像作成(=分解能の向上)のために、走査するビームを細くすることが必要です。 サポートラインの基礎と原理をやさしく解説 走査型顕微鏡の代表である電子顕微鏡では分解能の向上のために電子ビームを細く絞ることが長年の開発課題です。
同様に、超音波映像装置でも高精細な画像を得るためには超音波ビームを収束させて細くする必要があります。
電子顕微鏡では電子ビームを収束させるために電磁石を使います。しかし、超音波を収束させるためには光学顕微鏡のようなレンズ(音響レンズ)を使うか、 あるいは超音波を発信する振動素子を球面状にするなどの方法で、球面形状の超音波を形成します。
また、ビーム径の下限は下の式のように超音波の周波数とレンズ形状に依存し、高周波になるほど細く収束できます。
超音波ビームの径による分解能の違い
実際のビーム径が画像に及ぼす影響を下の写真で示します。同じ解像度確認パターンの観察結果でも、ビーム径70µmではいずれのパターンもぼやけて、 近接パターンではパターンを分離することも困難です。これに対してビーム径8µmの場合、理想的な条件下では10µmピッチで並ぶパターンを独立パターンとして 認識できることもあります。
超音波とX線の違い(1)
- 超音波検査は音波の伝播経路の性質や距離の違いを見ているため、 経路上の材質や密度の違い、内部の連続性がわかります。
- X線検査は透過経路でのX線の吸収量の違いを見ているので、部品形状の観察は得意ですが、部品間が接していても多少離れていても違いが現れません。
超音波とX線の違い(2)
超音波 | X線 | X線CT | |
剥離 | ◎ | × | △ |
---|---|---|---|
ボイド(厚みあり) | ◎ | ○ | ◎ |
クラック | ◎ | △〜× | △ |
ワイヤ観察ほか | △〜○ | ◎ | ◎ |
薄い試料 | ◎ | △ | ○ |
厚い試料 | △〜× | ○ | ○ |
フェイズドアレイ(段階的に並べた音波)の原理
電子走査(電子スキャン)方式の原理
フェイズドアレイ技術の応用として、アレイプローブの一部の振動子で収束超音波ビームを発生させ、反射音を受信する動作を、振動子を順次シフトしながら繰り返すことで、 プローブ自体を動かすことなく焦点を移動させることが可能となります。
この方法は電気的なスイッチングだけでビームをプローブの長手方向に走査させるために「電子走査」方式と呼ばれ、 電子走査を高速で行いながらアレイプローブをビームシフト方向に直交する方向へ移動させることで、焦点の走査幅に相当する帯状のエリアを観察することができます。
シングルプローブに比べて短時間で映像が得られる上、プローブの機械的な動きはそれほど早くする必要がないので、超音波の伝播媒質である水に対して発生する問題点である泡の巻き込みや波立ち等の画像劣化の原因となる現象が少ないのが特徴です。
電子スキャン技術とは
シングルプローブ方式は、ひとつの超音波振動子にインパルス電圧を加え、その振動子のサイズや、形状、曲率によって決まる固定の一つの超音波ビームを使用します。
一方、電子スキャン方式は、短冊状に並んだ振動子をもつアレイプローブを使用し、振動子の駆動タイミングを電子的に変化させることで、超音波ビームの角度、焦点を自由に制御します。
さらにアレイ振動子を電子的に切り替えることで高速走査が可能な技術です。
電子スキャンとメカニカルスキャンを複合することによって、広範囲の被検体を高速・短時間に測定することが可能となります。
SVM(サポートベクターマシン)とは
SVMの肝は、マージン最大化とカーネル法により非線形データを扱えるというところです。
ただ、SVMの仕組みをきちんと理解しようと思うとそれなりに骨が折れます。
ちょっと理論はまだ手をつける予定がないが、強力と噂のアルゴリズムを試してみたい。という方は、仕組みを気にせず読み進めてください。
というのも、SVMの実装はscikit-learnを使えば、とても簡単に行うことができるからです。
ここの理論について詳しく知りたいという方は、“アルゴリズム(理論編)”の”SVM”を参考にしてください。
(大学で学ぶ基礎数学と数理最適化の知識がある方はトライしてみてください。ちなみに、SVMのアルゴリズムは難しいので注意してください。)
SVMのメリットとデメリット
アルゴリズムを選択する上で、各アルゴリズムのメリットとデメリットを把握しておく事は重要です。 サポートラインの基礎と原理をやさしく解説
● SVMのメリット
データの次元が大きくなっても識別精度が良い
最適化すべきパラメータが少ない
● SVMのデメリット
学習データが増えると計算量が膨大になる
基本的に2クラス分類に特化している
スケーリングが必要
(SVMでは距離を測定するので、大きい範囲をとる特徴量に引きずられないようにする)
線形SVMと非線形SVM
SVMでは、線形と非線形を扱うことが出来ます。
非線形SVMとは次のようなSVMのことです。
SVMの実装例
実装例として、SVMで画像認識を行います。
まず、はじめにScikit-learnにあらかじめ用意されている画像データをダウンロードします。
(初めて行う際に、この作業は数分かかります。)
faces.DESCRによって、データセットの説明をみることができます。
実行してみると、
このデータは40人の顔を10枚ずつの計400枚の画像があることが分かります。
また、この画像データは64×64 pixelで構成されています。
どのようなデータがあるかは、以下のようにによって確認できます。
imagesは400×64×64(64×64の画像400枚)、
dataは400×4096(64×64を一列にしたもの400個)
targetは400×1(正解データ400個)
ということが分かります。
では、実際にデータをplotして画像を出力してみましょう。
(下のプログラムは最初のうちは理解出来なくても構いません。)
データの中身が確認できたので、分類を行なってみましょう。
今回は、画像データからそれが誰なのかを分類します。
scikit-learnのSVC(Support Vector Classifier)サポートラインの基礎と原理をやさしく解説 を使います。
SVCには、様々なパラメータがありますが一番重要なパラメータはkernelというものです。
ここでは詳しく説明しませんがどのような空間を作成するというものです。
今回は一番単純で計算速度がはやいlinear サポートラインの基礎と原理をやさしく解説 kernelを使用します
(他に定番のものとしてrbf kernelがよく使われます。)
まず、データを学習データとテストデータに分割します。
関数train_and_evaluateを実行すると、
Accuracy(学習データ): 1.0
Accuracy(テストデータ): 0.99
と出力され良いモデルが作れています。
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