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ストックオプション会計

ストックオプション会計
相手勘定の計上区分は、支払いの対価が現金ではなく、新株予約権や株式であることに起因する論点になります。したがって、検討にあたっては、交付する資産が何かがポイントになります。
一般的に、負債は、「過去の取引又は事象の結果として、報告主体の資産やサービス等の経済的資源を放棄したり引渡したりする義務」とされ(企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」(以下「純資産の部会計基準」という)第19項)、純資産は、資産と負債の差額とされています。
また、新株予約権は、「将来、権利行使され払込資本となる可能性がある一方、失効して払込資本とはならない可能性もある」ことから、その性格が確定していません。しかしながら、新株予約権は返済義務のある負債ではないことから、純資産の部に記載することとされており(純資産の部会計基準第22項(1))、「自社株式オプション型報酬」の場合の報酬費用の相手勘定は新株予約権として純資産の区分に計上されます。
事前交付型の株式報酬では、対象となる役員等へ金銭債権等を付与し、役員等が当該金銭債権等を現物出資として払い込み、株式を発行するという手続きが制度制定の当初に行われます。役員等による金銭債権等の現物出資は、株主との直接的な取引と考えられることから、貸借対照表の貸方項目の区分は、株主資本になると考えられます。
事後交付型の株式報酬は、初年度(スキーム導入時)に対象となる役員等への金銭債権等の付与の決議を行い、一定の業績等連動期間後に付与された金銭債権等が現物出資財産として払い込まれ、株式が発行されます。現行の会計基準のもとでは、役員等への金銭債権等の付与の決議時点では、株式や新株予約権の発行がなく、また、何らかの義務が生じている状況にもないことから、会計処理は行わず、業績等連動期間の各期末日に負債(引当金)を計上することが考えられます。
事後交付型の株式報酬は、企業が一定の条件を満たすサービスの提供を期待して、企業と役員等との間にいわば条件付きの契約が締結されていると考えられる点において、自社株式オプション型報酬と類似しています。しかしながら、純資産の部の表示項目が限定列挙とされている点(純資産の部会計基準第7項)から、報酬費用の相手勘定は負債になると考えられます。この考え方に基づくと、ストック・オプションや事前交付型と事後交付型では、報酬費用の相手勘定の計上区分が異なることになります。また引当金は期末ごとに最善の見積りを行うことから、株式報酬の付与日(契約締結日)を測定の基準日とするストック・オプションや事前交付型とは費用化される金額が異なる可能性があります。
株価連動型金銭報酬は、交付する対価が現金であるため、その金額が株価に連動しているとしても報酬費用の相手勘定は純資産(資本)には該当せず、将来において企業が役員等に対して現金を支払う義務を負っている点から、負債(引当金)になると考えられます。前述のように、引当金の計上額は、単価(期末)×仮想交付株式数(見込)×(既経過月数÷総月数)によって算定します。単価の測定に際しては、期末日の株価等を基礎として算定され、時価の変動に応じて評価額を見直すことになり、付与日(契約締結日)以後の事後的な株価の変動を見直さないストック・オプションや事前交付型と異なる可能性があります。
以上の考えをまとめると、図表2のようになります。

ストックオプション会計

ストック・オプションに関する会計処理の概要

近年、役員退職慰労金制度を廃止し、その代替策として1円S・Oを導入する企業が増加している。その狙いは企業価値の向上やガバナンスの強化など様々であるが、根底には役員に対するインセンティブの付与という考え方が存在する。
1円S・Oは権利行使価額が1円であることから、権利行使時の株価によらず1円で株を取得することが可能なスキームであり、権利行使時の株価と1円の差額が経済的利益となる。(一般的な制度設計では、経済的利益のうち付与日の株価から1円を控除した部分は、役務の提供に基づく報酬債権と相殺されるため、実質的な利益は権利行使日の株価から付与日の株価を控除した金額となる。※下図参照)
更に、将来の売却時に株価が上昇すれば売却益を得ることが可能となるため、1円S・Oは役員にとって『業績向上⇒企業価値の向上⇒株価の上昇⇒売却益増』といった好循環に対するインセンティブとなり得るのである。

ストック・オプションに関する会計処理の概要

さて、本題の会計処理であるが、現行の会計基準では、「(ストック・オプションの)付与に応じて企業が従業員等から取得するサービスは、その取得に応じて費用として計上し、対応する金額を、ストック・オプションの権利の行使又は失効が確定するまでの間、貸借対照表の純資産の部に新株予約権として計上する」としている。
つまり、1円S・Oは役員が提供するサービス(役務)に対する報酬として付与されることから対価性が認められることとなり、通常の現金支給と同様に費用計上が必要とされている。
その費用計上額はS・Oの公正な評価額(評価単価×S・Oの数)のうち、対象勤務期間を基礎とする方法その他の合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額とされ、具体的にはS・Oの付与日における評価額をサービスの提供期間に配分(按分)して費用計上することとなる。
ここで重要となるのが、費用計上に必要となるS・Oの公正な評価額をどのように算定するのかであるが、算定方法としては大きく2つあり、①離散時間型モデル(二項モデル等)と②連続時間型モデル(ブラック・ショールズ式等)に大別される。算定方法の詳細は続編に譲ることとし、話しを会計処理に戻したい。

権利確定日前では、付与日から権利確定日までの勤務対象期間にわたって株式報酬費用を認識

新株発行のケース

仮に、満期までに権利行使されず、失効となった場合はその分を利益に戻し入れる。(1円S・O の場合には、通常失効は想定されない)
つまり、権利が失効した場合の仕訳は以下の通りとなる

権利が失効した場合の仕訳

近年、日本におけるストック・オプションの導入件数は順調に伸びており、株式報酬型ストック・オプションに限れば、直近5年間の導入件数の伸びは平均で20%を超えている。(公開情報を基に大和総研調べ)
これは市場におけるガバナンス上の要請と企業側の役員へのインセンティブの付与という思惑が一致しての数値とも言えるが、堅調な市場の後押しもあり、今後更なる伸びも予想される。
ただし、ストック・オプションの導入を検討される際は、会計基準や税制の取扱いに留意が必要となるため、信頼できる専門機関に相談されることをお勧めしたい。

【毎日簿記10分ドリル】第20回:ストック・オプション

〔資料Ⅰ〕
1.X1年3月の株主総会において,従業員80名に対して1名当たり20個のストック・オプションを付与することを決議し,同年4月1日に付与した。
2.権利確定日はX4年3月31日,権利行使期間はX4年4月1日~X6年3月31日,行使価格は53,000円である。
3.付与日におけるストック・オプションの公正な評価単価は,7,200円/個である。 ストックオプション会計
4.付与日においては,X4年3月31日までに10名の退職による失効が見込まれた。

〔資料Ⅱ〕
1.X1年度の退職者は2名であった。
2.X2年度の退職者は1名であり,退職による失効の見込みを7名に変更した。
3.X3年度の退職者は3名であった。

〔資料Ⅲ〕
X3年3月の株主総会において,株式相場の変動を考慮し,同年4月1日に行使価格の条件変更を行うこととした。なお,条件変更日におけるストック・オプションの公正な評価単価は以下のとおりであった。
〈ケース1〉8,640円/個
〈ケース2〉6,480円/個

<ヒント>
問1および問2の各年度末における新株予約権のあるべき残高を次の計算式で求める。
公正な評価単価×ストック・オプション数÷対象勤務期間×当期末までの経過期間
(注)ストック・オプション数=付与数-失効見積数
問3は公正な評価単価が増加するため,付与日の7,200円については問2までと同様の計算を継続し,増加分について変更日から勤務対象期間で算定し,合算して仕訳を行うこと。
また,問4は公正な評価単価が減少するため,条件変更前の会計処理を継続することになる。

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